中級講座第十回「連珠のセンス」

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今回は連珠らしい打ち方は何か?ということをテーマに考えたいと思います。
局面を見て説明した方がわかりやすいので、早速説明しましょう。
連珠らしい打ち方は、序盤から現れます。

図は有名な瑞星(ずいせい)の白4ですが、連珠のセンスでは黒5が敗着となります(初級編でも書きました)。白6と自然な手で黒は動けません。さらに黒7と打つのが自然ですが、すかさず三々禁になってしまいます。三々禁がある、これが五目との大きな違いです。黒は三々禁という落とし穴をかいくぐって組み立てる必要があるのです。そこで、連珠のセンスが必要になります。
禁手だけではありません。連珠のセンスとは、「いかに効率よく石をつなげるか」ということに集約されます。

図は名月での有段者規定「二題打ち」の黒5を選んだ場合の一例ですが、白8に対し、黒9は五目並べのセンスなら間違いなくここに打つでしょうが、それではいつまでたっても五目並べからは卒業できません。

ここで黒9と打つのが連珠のセンスです。最も常識的な「相手の二連を叩いて二連を作る」という一手より、「相手をけん制しながら自分だけいい形を作る」という価値の方が高いのです。連珠の序盤の組立ては「いかに相手よりいい形を作るか」ということが最も重要視されるのです。相手の模様の中に入って行くよりは、模様をけん制して自分だけ模様を張ることができれば、たいていは良しとしたものです。

連珠らしいセンスが現れるのは、桂馬打ちが多いと思います。つまり、桂馬の珠型を打ちこなすことが、連珠のセンスを磨くことになります。
図は二題打ちでの攻防の一例ですが、白6に対し黒13までがよく打たれる形です。最後の黒13がいかにもセンスあふれた一手です。この手の意味がわからなくても、感覚でいい手だと思えればしめたものです。

連珠らしいセンスのある手にはいろいろな種類があるようです。図は山月山颪(やまおろし)の強防ですが、黒11が定石とされている妙手です。「自分だけいい格好をする」という種類でしょうか。このような手は、黒の必勝定石によく現れます。
自分だけいい格好をする、という手を打つためには、相手に追い勝ちがないことが前提となります。ですので、序盤に現れることが多いと言えます。

同じ必勝定石でも左図の黒11は「相手を止めながらいい格好を作る」と言えます。これも序盤の組み立ての基本です。「いい格好」は前にやった山形などの二連だけではなく、剣先を助けるように石を置くのもいい形になります。

図の黒7などは「禁手をかわしながらいい形を作る」という高度な技です。禁手を考えながら打つのはまさに連珠ならではです。これは多くの実戦を積まないとわからないでしょう。しかし、多くの定石には禁手をかわす手筋が含まれています。まずは桂馬の定石を学ぶことをお勧めします。

こうして見てみると、連珠のセンスを一言で語るのは難しいですね。ただ、お互いに一手ずつ打ち進めるということがルールなので、相手の次の手を予測し、それを上回る組み立てが要求されるのです。「常に主導権を取る」ということが連珠の攻防なのかもしれません。図の黒19も、自分だけ先にいい形を作って主導権を取ろうとする思いが伝わってきます。単に剣先を叩いたりしているだけではなかなか勝てません。勝負に負けても思い切った手を打ってみて、センスアップにつなげてください。それが将来の勝ち星にもつながってくるはずです。