中級講座第一回「けん制手を覚えよう」

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初級編に引き続き、中級編を書く事にしました。初級編をすべて読まれた方、すぐに中級編を読まずに、一度初級編をじっくり咀嚼してください。内容が身についたという自信ができてからこの中級編に進むことをお勧めします。へたにどんどん進んでいくと消化不良を起こしてしまいます。中級編はこれまでよりも内容がぐっと難しくなりますので、そのつもりで臨んでください。では、第一回。

けん制手とは?

けん制手とは呼手の一種です。普通、相手に攻めが残っている時に呼手は打てませんが、相手の勝ちをけん制しながら呼手を打つのが実戦ではとても多いのです。けん制手は簡単なものから複雑なものまで様々です。高段者が読みに時間を使うのは、このけん制手だと思います。それだけ慎重に読む必要があります。けん制しきれない時は負けにつながるからです。では、その例を見てみましょう。

図は花月から白10まで進んだ局面です。黒は次の一手をどう打ったらいいでしょうか。気になるのは白4、8の二連です。白の攻めをけん制しながら黒の勢力を増す手を考える必要があります。

黒11のように止めるだけの手は、さらに白に12と欲張られます。白の攻めのスピードについていけなくなってしまいます。ここでは防ぐだけの手はいけません。

しかし、黒11と呼手で攻めるのも、白12から直接白に追い勝ちをされてしまいます。白12と引ければ続けて白14に引け、あとはどんどん白の連が増えていきます。黒11は呼手としては立派ですが、白の攻めが上回ります。
花月定石を打ったのになぜ負ける?と愚痴をこぼすかもしれません。定石を覚えた手の頃に良く聞かれそうな愚痴です。

そこで、けん制手が必要となるのですが、この黒11は一見けん制しているように見えますが、実はけん制になっていません。
今度は白12から14と引く筋があり、白16まで引かれてしまうともう防ぎはありません。

ここで最初に戻って、何をけん制すればいいか考えてみましょう。先程の攻めを見てみると、黒AとBの両方をけん制すれば攻めのけん制になっています。じゃあけん制するにはどうすればいいかということですが、黒AまたはBに石が入った時に追い手になる(三または含み手)ようにしておけばいいのです。
その場所を探してみましょう。

黒11がその条件を満たしています。14の点は三だし、黒Aに石が入れば次に黒Bで四三です。これで正解かと思いますが、実はまだ裏があります。白12に引き続き、14と乗り込んで来る手があります。これに対し黒15と止めると白16、18と打たれて勝ちですので、黒は15で16に止めるしかありません。それだと白にもう一手かけられて防がれ、混戦になってしまいます。実は、もっといい手があるのです。

もう一度最初の図に戻りましょう。つまり、けん制が必要な場所はA、B、Cの3箇所となります。次にA〜Cに黒石が入った時に追い手になるようにする必要があるのですが、果たしてそんな手はあるのでしょうか?

黒11はどうでしょうか?A、B、C3つ共、次に黒石が入れば追い手になっています。
ぜひ確認してください。これが正解です。
(B、Cとも、2回の四追いの含み手です)

白がこの後12と防ぎに行っても、黒13から引き出して勝つ事ができます。白はこのけん制手を止める事ができません。と言って自分の勝ちもけん制されていますから、攻めも防ぎもないことになります。つまり、この黒11の一手で黒勝ちが決まります。
必勝定石でもこんな難しい手を打たないと勝てないことがよくあります。定石を学ぶとこんな手に触れる事ができるメリットがあります。

ただし、黒ももっと前にけん制することができました。黒9でこのように打てば、白はけん制されています。また、黒7で9も良く、それで白の早い攻めはなくなります。序盤であればあるほどけん制は有効です。2つの連のうち1つをけん制しておけばたいていはけん制手になります。序盤はけん制しながら呼手を打つという感覚が大事になります。

次の一手、練習問題

中級でも毎回、復習の意味で学んだことを確認するために練習問題を出題します。
レベルがアップしますが、チャレンジしてみてください。

【第1問】
(白先)

【第2問】
(黒先)

【第3問】
(黒先)