初級講座第六回「黒の勝ち方(4)」

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だんだん内容が難しくなってきますがついて来ていますか?

含み手の活用

含み手というのは、「2回以上の四追いが発生する手」という定義ですが、四の連続だけに破壊力はバツグンです。前回やったミセ手は1回の四追いの含み手とも言えますので、実質上含み手というのは実戦でよく使われる応用の広い手なのです。ミセ手や含み手の効用は石数を減らすという前回述べた効用の他、防ぐ場所が何箇所もあって防ぎが難しいという効用もあります。こちらも攻めの手順は相手の防ぎを考慮しなければいかないので同じなのですが、攻めている側の方が相手の防ぎを待って次の攻撃を考えられるだけに、複雑な局面は防ぐ側の方が嫌なものです。含み手を自在に使える様になれば、高段者の域です。簡単な例から説明していきます。

浦月定石からです。白4に対し黒5と引いて7と組むのが定石ですが、白8なら黒9から引き出して追い勝ちがあります。図はその途中図ですが、黒17とABの四追いを含むのがいい手です。この手はCのミセ手にもなっています。黒17でC、17と引くのは白Dとトビ三で取られます。含み手のいい所は、白のノリ手をかわす事ができることです。空いた空間に17と置く含み手の感覚、すごくいいですね。こういう感覚がわかるようになると、自然と実力もアップします。

ついでに、その後の勝ち方もこの際学んでおきましょう。白も18と止めるのが最強です。以下黒は三、四、三、三と引いて最後は27の四三勝ちになります。黒17と打った含み手の本当の狙いは黒27の剣先とつなげることだったのです。ここまでいくと、これはもうロマンという他ありませんね。

含み手は一般には5回位までが普通ですが、長いものだと10回以上の四追いを含む場合もあります。四追いは止める場所も1箇所なので読み易いはずですが、なかなか読めないのはどうしてでしょうか?不思議ですね。通常は4〜5回程度が読めれば、十分です。むしろ、形を見て「ある」「なし」の判断ができるようにしたいです。それには実戦でしっかり読むしかありません。

次の例です。銀月定石の変化ですが、白14までの時黒15と含む手が絶好で勝ちになります。この15がどういう含み手かわかりますか?この15は、白12、14の連がノリ手になるのをあらかじめ止めてもいます。また、上辺に向かっている白の剣先の牽制にもなっている非常に味のいい手なのです。

続きを見てみましょう。白はいろいろ止めたい所がありますが、何せ1箇所しか止められません。一番強そうなのが白16です。ここからいろいろな勝ちがありますが、黒17のあとまた19と含み手を打ちます。今度は4回ですがわかりますか? このように含み手の連続で攻めていくのが相手を振り切る高速の攻めなのです。

そろそろ終局に近づいたようです。続きを見てみましょう。白も20に止めるしかないところで、以下黒21から引き出して27まで四三となります。 黒15の時点でとてもここまで読みきることは難しいですが、他の防ぎに対してもおそらく勝ちだろうという気持ちで打っています。黒15のような筋のいい手を打てれば、たいていは勝ちとしたものです。この「筋のいい」手を学ぶ事が大事です。そのためには実戦はもちろんですが、定石を学ぶことも大事です。定石は筋のいい勝ち方を自然に学ぶ事ができます。「勝ち」を覚えるのではなく、「勝ち方」を学んでください。

次の一手、練習問題

【第13問】
黒次の一手は?

【第14問】
黒次の一手は?

【第15問】
黒次の一手は?

前回の回答

【第10問】
Cが正解。

【第11問】
Bが正解。
両ミセになっています。

【第12問】
Aが正解。
この手も両ミセです。